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「違う冬のぼくら」をプレイした個人的な感想

「違う冬のぼくら」とは

「ところにょり」さんにより開発されたインディーゲーム。

リリースは 2023年8月10日、価格は 710 円で PC, Switch, スマホと幅広いハードに対応しています。

本作の一番の特徴は何と言っても「2人プレイ専用ゲーム」であること、 そして「同じステージでもプレイヤーによって見え方が異なる」ということです。

同じ場所でもプレイできますが、基本的に「オンラインで通話をしながらのプレイ」を想定したゲームデザインになっています。

( Steam で買って PC 2台で立ち上げればプレイできるかな?と思って試したんですが、それは Steam のルールで制限されており、結局2つ買う必要がありました。 なので2人でプレイしよう!となったら、実質 1420 円になります。 )

公式サイトからのメッセージ。

自分の見ている世界は、本当にみんなと同じ世界なのかと考えたことはないでしょうか。

『違う冬のぼくら』は、自分の世界が、

みんなと同じ世界ではなくなってしまった2人の少年のゲームです。

相手と見ているものが噛み合わない困難を2人で乗り越え、少年たちの物語を通して、

ぜひ「あのころの友情」を取り戻してください。

「個人的な感想」について

「個人的な」感想と言っているのは、僕個人が自分の感覚をあまり一般的だと思わないからです。

このゲームは協力謎解きゲームでありつつも、主人公同士の立場の違いや人との出会いをテーマにしている部分もあり、 そういった部分の感受性が低い僕のレビューは一般的な感想とは違ったものになっているだろうという感覚があります。

もちろん感じ方は人それぞれですし、僕に似た感覚の人も少なからずいると思い、それらを否定するつもりもありませんが、 作者が伝えたいことや多くのプレイした人が共有したい感覚を必ずしもこの記事で触れられないかもしれないという部分の注意になります。

ゲームの内容

※ ここからネタバレ有りです。

ゲームは「協力謎解きゲーム」で、明確にステージ番号が振られている訳ではないもののステージ制で2人ともスタートからゴールを目指す、という構成になっています。

2人はそれぞれ世界の見え方が異なり、「笑顔の動物たちの世界」と「荒廃したロボットたちの世界」になっています。 地形やギミックが異なることで、それぞれが行ける場所や発動できるギミックが異なり謎解きに繋がります。 また、それぞれしか見えないものを利用して、イラストを口頭で伝えるようなシーンもあります。

ストーリーは大まかに、小学生の「金持ちの家庭の息子」と「厳しい母子家庭の息子」が冒険をする話です。 子供特有の「立場を気にしない友情」や、それぞれの環境の違いを理解していくプロセスが描かれています。

また、他にも「問題を抱えた家族と息子」や、ゲームに味をつける「サイコキラーのおじいちゃん」が登場します。彼らの立場や成り立ちも、 主人公たちの悩みに関連する部分があります。

感想

ゲームの難易度はちょうど良いと思いました。たまに軽く沼るが大きくは詰まらないくらいのプレイをして、4-5時間程度のボリュームでした。

先にハマらなかった点を挙げておくと、

まず2人の世界のロボット側について。動物の世界は色々な小物があり、登場人物も別々の動物で描かれる一方、 ロボットの世界はキャラクターや小物も全て機械チックなものであるため、プレイ体験として画面やオブジェクトに華が無いのは少し残念に感じました。

またストーリーについて、ストーリー中いくつかの場面でプレイヤーは「2人で話し合って選択する」必要があります。 ゲームのテーマには非常に合っていると思う一方、別のルートを確認するためには同じパズルを最初からやり直す必要がある、 というのは少し億劫に感じました。(でもこれは僕の我儘な気もします。)

また、細かい点で言うと、ゲーム中に「ここは無言で(相手に伝わらないように)プレイ」というサインがあるのですが、 このサインが終わったときにお互いの状況を共有して良いのか?が分かりづらかったのが少し気になりました。 ゲームクリア後に話した結果、そのときすぐに共有して良かったなと思いつつ、その時点では分からなかったのでストーリーが少し理解しづらかったです。

次に面白かった点。

まず、ストーリーが面白かったです。あまり大ボリュームではないですが、休みの日にプレイするのに丁度良い程度のボリューム感でした。 「大人になって振り返る、子供時代だけの立場を度外視した友情」を「無機質でグロテスクな世界観」の中で綺麗にえがいています。

2人別画面ならではのギミックとして、「一方だけ見られる正解のアイコンを他方に言葉で伝える」というのはこのゲームの面白さに直結する良いギミックでした。 2人別画面のゲームとして有名なものに、遠隔指示で爆弾解除をする「Keep Talking and Nobody Explodes」があります。 この「遠隔指示が伝わらないもどかしさ」はこのジャンルのゲームの王道の面白展開だと思います。

他には、「片方だけグロテスクな場面を見て騒いでいる」というシーンも、このゲームに合っていると思います。 2人が別々の画面を見ているというゲーム性によりプレイヤーに引き起こされる感情として、「相手の画面が気になる」というものが代表的だと思います。 それを引き起こすためには、相手の画面が気になるような発言や反応をさせる必要があり、「グロテスク(など)な場面を見て驚いている反応」はひとつの良い方法だと思います。 他の例としては、「意味深な状況を片方だけ理解している反応」「同じ状況におけるお互いの反応が異なる」とかがありそう。

「2人でタイミングを合わせる」ような仕掛けが無いのも、オンラインの遅延を考えると妥当で良いと思いました。 急いで動く必要がある仕掛けも少しはありますが、難しいアクションが不要なのは謎解き重視のゲームとしてバランスが良くできていると思います。

あと、基本的に作者1人による制作だと思うのですが、エンディングの歌を別の方に作ってもらっていたようで、その歌が素敵でした。これは僕も自分がゲームを作るときに取り入れたいと思う一方、「歌を作れる知り合いの存在」「主題歌を入れられるくらいボリュームのあるストーリー」のどちらも無く、、、 まあ、どちらも無くても良いとも思うので、機会があったらやってみます。

まとめ

好きなところ、もうひとつなところ、それぞれ書きましたが、

「2人別々画面プレイの謎解き」で「それぞれの立場の違いに注目したストーリー構成」というゲームは、他にあまり例が無いのではないかと思います。

そのような構成のゲームとして、特徴が生かされていて面白いゲームだと思いました。

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